賜ると承るの違いとは?意味や使い分けを例文でやさしく解説

日本語・言葉

「賜る」と「承る」は、どちらも丁寧な言葉ですが、いざメールや接客で使おうとすると、どちらを選べばよいか迷ってしまいますよね。

「お言葉を賜る」と「ご要望を承る」は聞いたことがあっても、何を受け取る場面なのかによって使い分ける必要があります。

この記事では、「賜る」と「承る」の意味や敬語としての違いをわかりやすく整理し、物・厚意・言葉・注文・依頼など、場面に合わせた自然な使い方をご紹介します。

ビジネスメールや接客ですぐに役立つ例文も確認できるので、丁寧で感じのよい表現を身につけたい方は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • 「賜る」はもらう、「承る」は聞く・受ける・引き受けるという基本の違い
  • 「賜る」と「承る」の敬語の種類と、主語を確認するポイント
  • 贈り物・厚意・言葉、注文・予約・依頼に合わせた使い分け
  • ビジネスメールや接客で使いやすい例文と、似た敬語との違い
  1. 「賜る」はもらう、「承る」は聞く・受ける・引き受けるという違い
    1. 「賜る」は「たまわる」、「承る」は「うけたまわる」と読む
    2. 受け取る対象に注目すると使い分けやすい
  2. 「承る」は謙譲語、「賜る」は謙譲語と尊敬語の両方で使われる
    1. 自分が目上の方からいただく「賜る」は謙譲語
    2. 目上の方が何かを与える「賜る」は尊敬語
    3. 「承る」は自分側の動作を低める謙譲語
  3. 物・言葉・厚意・恩恵をいただく場面では「賜る」を使う
    1. 贈り物や賞をいただく場合の使い方
    2. ご愛顧やご支援など形のないものにも使える
    3. 「ご厚意を承る」より「ご厚意を賜る」が自然な理由
  4. 注文・予約・依頼・申し出を受ける場面では「承る」を使う
    1. 注文や予約を受け付ける場合の使い方
    2. 依頼やキャンセルの申し出を受ける場合の使い方
    3. 電話で用件や伝言を聞く場合の使い方
  5. 言葉や意見には内容と受け取り方に応じて使い分ける
    1. ありがたい言葉をいただくなら「お言葉を賜る」
    2. 意見や要望を聞くなら「ご意見を承る」
    3. 助言には「賜る」と「承る」のどちらも使える
  6. ビジネスメールや接客で使える「賜る」と「承る」の例文
    1. 挨拶文やお礼で使う「賜る」の例文
    2. 注文や依頼への返信で使う「承る」の例文
    3. 電話応対や伝言で使う「承る」の例文
    4. 不自然になりやすい表現と直し方
  7. 「いただく」「頂戴する」「伺う」「承知する」との使い分け
    1. やわらかく伝えるなら「いただく」
    2. 物を受け取ることを丁寧に示すなら「頂戴する」
    3. 話を聞くことを表すなら「伺う」
    4. 理解したことを伝えるなら「承知する」
  8. 「賜る」の送り仮名は「賜る」が一般的
    1. 「賜る」と「賜わる」の表記の違い
    2. 「賜る」と「承る」の成り立ち
  9. まとめ

「賜る」はもらう、「承る」は聞く・受ける・引き受けるという違い

賜ると承るの違いとは?意味や使い分けを例文でやさしく解説

「賜る」は、相手から物や厚意などをもらう意味で使う言葉です。

「承る」は、話を聞く・依頼などを受ける・引き受けるという意味で使います。

どちらも改まった場面で見かける言葉ですが、何を受け取るのかに注目すると、自然に使い分けやすくなります。

「賜る」は「たまわる」、「承る」は「うけたまわる」と読む

「賜る」はたまわる、「承る」はうけたまわると読みます。

見た目が似ているため読み方を迷いやすいものの、意味も読み方も異なる言葉です。

「賜る」の「賜」には、目上の人から何かを与えられるという意味があります。

そのため、「賜る」は品物だけでなく、配慮や支援など、相手から受けるものを表す際にも用いられます。

一方の「承る」は、「受ける」に「聞く」や「引き受ける」の意味が加わった言葉です。

相手の話を聞いたときや、希望・依頼などを受け付けたときに使われます。

言葉 読み方 中心となる意味 受け取る対象のイメージ
賜る たまわる もらう 品物・厚意・恩恵など
承る うけたまわる 聞く・受ける・引き受ける 話・希望・依頼・注文など

受け取る対象に注目すると使い分けやすい

使い分けで迷ったら、まず「自分は何を受け取ったのか」を考えてみましょう。

相手から贈り物や温かい配慮のような形のあるもの・形のない恵みを受けるなら、「賜る」が合います。

相手の話や要望のように、内容を聞いて受け止めるものなら、「承る」を選ぶのが基本です。

  • 物や好意をもらう場合:賜る
  • 話を聞く場合:承る
  • 希望や依頼を受け付ける場合:承る
  • 任されたことを引き受ける場合:承る

たとえば、相手から記念品を受け取ったことを表すなら、「記念品を賜る」のように考えます。

反対に、相手からの申し出を聞いて受け付ける場面では、「申し出を承る」のように表します。

このように、「もらった」と言いたいのか、それとも「聞いた・受け付けた」と言いたいのかを分けることが大切です。

特に「承る」は、単に物を受け取る意味ではなく、相手の意向を受け止めるニュアンスを含む点が特徴です。

迷ったときは、受け取るものが品物や厚意なら「賜る」、話や依頼なら「承る」と覚えるとよいでしょう。

「承る」は謙譲語、「賜る」は謙譲語と尊敬語の両方で使われる

「承る」は、基本的に自分や自分側の行為をへりくだって表す謙譲語です。

一方の「賜る」は、自分が目上の方から受ける場合は謙譲語になり、目上の方が誰かに与える場合は尊敬語になるため、文の主語を確認することが大切です。

同じ「賜る」でも、誰の動作を表しているかによって敬語の種類が変わります。

言葉 主に表す人 敬語の種類 確認したいポイント
承る 自分・自分側 謙譲語 自分側の動作をへりくだっているか
賜る 自分・自分側 謙譲語 目上の方から受ける立場か
賜る 目上の方 尊敬語 目上の方が与える動作か

自分が目上の方からいただく「賜る」は謙譲語

自分が目上の方から何かをいただくことを「賜る」と表すときは、自分を低くする謙譲語です。

「いただく」をあらたまった表現にした語と考えると、理解しやすいでしょう。

たとえば、「このたびはご厚情を賜り、心より感謝申し上げます」は、相手から受けた厚意に対して、自分をへりくだって感謝を伝える表現です。

また、「格別のご配慮を賜りました」のように使うと、相手への敬意を保ちながら、受けたことを丁寧に述べられます。

この用法では、文の主語は省かれていても、受け取る側が自分であることが前提です。

  • ご支援を賜り、ありがとうございます。
  • 温かいお言葉を賜り、恐縮しております。
  • ご指導を賜りますよう、お願い申し上げます。

ただし、「賜る」は格式の高い表現なので、日常的なやり取りで繰り返すと、少しかしこまりすぎた印象になることがあります。

社外向けのあいさつ、式典の案内、改まったお礼状などで用いると、自然になじみやすい表現です。

目上の方が何かを与える「賜る」は尊敬語

「賜る」は、目上の方が何かを与える動作を表すときには、尊敬語として使われます。

この場合は、行為をする目上の方を高める表現になります。

たとえば、「会長が記念のお言葉を賜った」のような形では、会長が与えた側として扱われます。

より自然な文にするなら、「会長より記念のお言葉を賜った」として、誰から受けたのかを明確にするとよいでしょう。

ただし、尊敬語としての「賜る」は現代の日常会話ではあまり多くなく、儀礼的な文章や改まった紹介文などで見かけることが中心です。

主語が目上の方なのか、自分なのかが曖昧な文では、読み手が敬語の向きを判断しにくくなります。

迷う場合は、主語や「より」を補って、誰の動作なのかをはっきり示すと安心です。

文の形 「賜る」の働き 敬語の向き
私どもはご厚情を賜りました。 自分側が受ける 自分側を低くする
先生はお言葉を賜りました。 先生が与える意味として用いる場合がある 先生を高める

「賜る」は一つの語で二つの働きを持つため、主語と立場の確認が使い分けの鍵になります。

「承る」は自分側の動作を低める謙譲語

「承る」は、自分または自分側が行うことについて使う謙譲語です。

相手を直接高めるというよりも、自分側の動作を控えめに表すことで、相手への敬意を示します。

そのため、「承る」を使うときは、行為をするのが自分側であるかを確かめると間違いにくくなります。

たとえば、「担当者が承ります」は、担当者が相手に対応することを丁寧に伝える言い方です。

「私が承りました」は、自分が対応したことをへりくだって述べる表現になります。

反対に、目上の方の動作に対して「部長が承ります」とするのは、敬語の向きが合いにくい場合があります。

このようなときは、部長の立場や文脈に応じて、別の尊敬表現を検討するとよいでしょう。

  • 自分側が行う動作なら、「承る」を使いやすい。
  • 目上の方が行う動作なら、「承る」は基本的に使わない。
  • 「賜る」は、主語によって謙譲語にも尊敬語にもなる。

「承る」は常に自分側へ敬語の向きがあるのに対し、「賜る」は文中の立場によって役割が変わる点を押さえておくと、改まった文章でも落ち着いて使えるようになります。

物・言葉・厚意・恩恵をいただく場面では「賜る」を使う

「賜る」は、相手から贈り物やお言葉、ご支援などをありがたくいただく場面で使う、改まった表現です。

目に見える品物だけでなく、厚意や配慮、長年のご愛顧といった形のないものにも使えます。

とくに、相手への深い感謝や敬意を丁寧に伝えたいときには、「いただく」より格調のある言い方として「賜る」がよく用いられます。

いただくもの 「賜る」を使った表現
贈り物・記念品 結構なお品を賜り、ありがとうございました。
賞・表彰 このたびは名誉ある賞を賜り、心より御礼申し上げます。
言葉・励まし 温かいお言葉を賜り、励みになりました。
厚意・支援 格別のご厚情を賜り、深く感謝申し上げます。

贈り物や賞をいただく場合の使い方

贈答品や記念品、表彰状、賞などを受け取ったことを丁寧に述べるとき、「賜る」が使えます。

たとえば、式典のあいさつやお礼状では、「立派なお品を賜り、誠にありがとうございました」のように表現できます。

「賜る」には、単に受け取った事実だけでなく、相手の心遣いをありがたく受け止めている気持ちが込められます。

そのため、高価な品物に限らず、記念のお品や心のこもった贈り物へのお礼にもなじみます。

  • このたびは結構なお品を賜り、厚く御礼申し上げます
  • 永年のご功績に対し、記念品を賜りました
  • 身に余る賞を賜り、光栄に存じます

ただし、日常的なやり取りで受け取った小さな差し入れなどにまで「賜る」を使うと、やや改まりすぎて聞こえることがあります。

親しい相手には「いただきました」「ありがとうございます」といった自然な表現を選ぶと、気持ちが伝わりやすいでしょう。

ご愛顧やご支援など形のないものにも使える

「賜る」は品物だけでなく、相手から受けるご愛顧、ご支援、ご指導、ご厚情などにも使えます。

これらは手に取れるものではありませんが、相手が与えてくれた配慮や恩恵として受け止められるためです。

企業や店舗からのお知らせ、式典のあいさつ、お礼状などでは、継続的な支えへの感謝を表す言葉としてよく用いられます。

  • 平素より格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます
  • 皆様から温かいご支援を賜り、心より感謝申し上げます
  • ご多用のところご指導を賜り、ありがとうございました
  • 日頃よりご厚情を賜り、深く御礼申し上げます

「ご愛顧を賜る」は、お客様や取引先から長く利用・支援してもらっていることへの感謝を表す定型的な言い方です。

また、「ご厚情を賜る」は、親身な心遣いや特別な配慮を受けたことに感謝するときに向いています。

いずれも改まった表現なので、案内文や年始のあいさつなど、丁寧さが求められる文章で使うと落ち着いた印象になります。

「ご厚意を承る」より「ご厚意を賜る」が自然な理由

「ご厚意」は、相手が示してくれた親切な気持ちや配慮を指す言葉です。

そのため、「ご厚意をいただく」という意味を丁重に表すなら、「ご厚意を賜る」が自然です。

「賜る」は、相手から与えられる品物や心遣いを受ける場面に合うため、「ご厚意」との結びつきがよい表現です。

一方で、「ご厚意を承る」は意味を想像できるものの、慣用的な組み合わせとしては一般的ではありません。

文章に迷ったときは、次のように考えると選びやすくなります。

伝えたい内容 自然な表現
相手の親切や配慮に感謝する ご厚意を賜り、ありがとうございます
相手からの支えに感謝する ご支援を賜り、感謝申し上げます
相手からの温かい言葉に感謝する お心のこもったお言葉を賜り、御礼申し上げます

「賜る」を使うときは、受け取ったものが品物であるか、相手の気持ちや恩恵であるかを確認するとよいでしょう。

相手からありがたく与えられたものを表したい場面では、「賜る」を選ぶと、感謝と敬意がきちんと伝わります。

注文・予約・依頼・申し出を受ける場面では「承る」を使う

賜ると承るの違いとは?意味や使い分けを例文でやさしく解説

注文や予約、依頼などを受け付けて対応する場面では、「承る」を使うのが自然です。

「承る」には、相手からの希望や用件を丁重に受けるという意味があり、接客やビジネスのやり取りによく合います。

とくに、お客様や取引先に対して「受け付けました」「対応します」と伝えたいときは、「承る」を選ぶと丁寧で落ち着いた印象になります。

注文や予約を受け付ける場合の使い方

飲食店や通販、宿泊施設などで注文・予約を受け付ける際には、「ご注文を承ります」「ご予約を承ります」と表現できます。

これは、相手の希望を聞き取り、受付の手続きを進めることを丁重に伝える言い方です。

場面 自然な表現
注文を受ける ご注文を承ります。
予約を受ける ご予約を承ります。
日時を確認する ご希望の日時を承ります。
人数を確認する ご利用人数を承ります。

たとえば電話応対では、「ご注文を承りますので、商品名をお聞かせください」のように使うと、案内がなめらかです。

予約については、「来週土曜日のご予約を承ります」と伝えることで、希望内容を受け付ける意思を示せます。

ただし、満席や在庫切れなどで受付が確定していない段階では、「承りました」と早く言い切らないことも大切です。

確認が必要な場合は、「空き状況を確認のうえ、ご予約を承ります」のように伝えると誤解を避けやすくなります。

依頼やキャンセルの申し出を受ける場合の使い方

相手から仕事や対応を頼まれたときには、「ご依頼を承ります」「ご要望を承ります」と言えます。

相手の希望を受け止め、内容を確認して対応する場面に向く表現です。

なお、すぐに実行できるとは限らない依頼には、「内容を確認のうえ承ります」と添えると、慎重で丁寧な伝え方になります。

  • 資料作成の依頼を受ける場合:「資料作成のご依頼を承ります。」

  • 日時変更の希望を受ける場合:「日程変更のご希望を承ります。」

  • キャンセルの連絡を受ける場合:「キャンセルのお申し出を承ります。」

  • 要望を聞き取る場合:「ご要望を承り、担当部署へ申し伝えます。」

キャンセルに関する連絡では、「キャンセルを承ります」だけでも意味は通じます。

よりやわらかく伝えたいときは、「キャンセルのお申し出を承ります」とすると、相手の連絡内容を丁重に受け止める表現になります。

また、規定や確認事項がある場合は、「内容を確認後、手続きを進めます」と続けると、案内がわかりやすくなります。

電話で用件や伝言を聞く場合の使い方

電話では、相手の話したい内容や伝言を聞き取る場面でも「承る」が使えます。

「ご用件を承ります」「伝言を承ります」は、電話応対でよく用いられる丁寧な表現です。

伝えたいこと 使える表現
用件を聞く 恐れ入りますが、ご用件を承ります。
伝言を受ける よろしければ、伝言を承ります。
折り返しの希望を聞く 折り返し先のお電話番号を承ります。
内容を確認する 確認のため、もう一度承ります。

電話では聞き間違いを防ぐため、内容を復唱して確認することも大切です。

その際は、「本日中のご連絡をご希望とのこと、承りました」のように、聞き取った内容を簡潔にまとめるとよいでしょう。

「承る」は単に聞くだけでなく、相手の用件をきちんと受け付けて取り扱うニュアンスを含みます。

注文、予約、依頼、申し出、電話の用件のように、相手から寄せられた内容を受け止める場面では、「承る」を使うと自然です。

言葉や意見には内容と受け取り方に応じて使い分ける

言葉や意見に対しては、相手からの厚意や励ましをありがたく受けるなら「賜る」、内容を聞いて受け付けるなら「承る」を使うのが基本です。

同じ「言葉」や「助言」でも、何を大切にして表現したいかによって、自然な言い方が変わります。

相手の気持ちへの感謝を表すのか、伝えられた内容を受け取るのかに注目すると、迷いにくくなります。

伝えたいこと 適した表現 主なニュアンス
励まし・ねぎらい・温かい言葉への感謝 お言葉を賜る 厚意をありがたくいただく
意見・要望・考えを聞く ご意見を承る 内容を丁寧に聞き受ける
助言を受ける ご助言を賜る/承る 感謝を強調するか、内容を聞くことを重視するかで選ぶ

ありがたい言葉をいただくなら「お言葉を賜る」

相手からの励まし、ねぎらい、温かい言葉などをありがたく受け取ったときは、「お言葉を賜る」がよく合います。

「賜る」には、単に言葉を聞いたという以上に、相手の厚意を大切に受け取る気持ちが含まれます。

とくに、目上の方やお世話になった方からの言葉に感謝を伝える場面で使いやすい表現です。

  • このたびは温かいお言葉を賜り、誠にありがとうございます。

  • 先生より励ましのお言葉を賜り、心より感謝しております。

  • 皆様からのお心のこもったお言葉を賜り、深く御礼申し上げます。

「お言葉を賜る」は、改まったあいさつ文やお礼状にもなじむ表現です。

ただし、日常的なやり取りではやや格式が高く感じられることもあるため、相手との関係に応じて「温かいお言葉をいただき、ありがとうございます」と言い換えてもよいでしょう。

意見や要望を聞くなら「ご意見を承る」

相手の意見、要望、考えを聞き、その内容を受け止める場面では、「ご意見を承る」を使います。

この場合に重視されるのは、相手の言葉への感謝よりも、意見の内容を丁寧に聞き取ることです。

アンケート、相談、打ち合わせ、問い合わせへの対応などで自然に用いられます。

  • 皆様からのご意見を承り、今後の運営の参考にいたします。

  • ご不便に感じられた点について、ご意見を承ります。

  • まずは担当者より詳しいご事情を承ります。

「ご意見を賜る」とすることもありますが、これは相手の意見を貴重なものとして、ありがたく受け取る気持ちを強く表したい場合の言い方です。

広く意見を募る案内では、「ご意見を承る」または「ご意見をお寄せください」のほうが、意図が伝わりやすいでしょう。

助言には「賜る」と「承る」のどちらも使える

「助言」は、受け取る側にとってありがたいものでもあり、内容を聞いて役立てるものでもあるため、「賜る」と「承る」のどちらも使えます。

ただし、両者では伝わる印象が少し異なります。

表現 向いている場面 例文
ご助言を賜る 助言への深い感謝や敬意を示したい場面 貴重なご助言を賜り、ありがとうございました。
ご助言を承る 助言の内容を聞き、受け止める場面 今後の進め方について、ご助言を承ります。

お礼を伝える文章では、「ご助言を賜り」が自然です。

一方で、これから話を聞きたいときや、相談の機会をお願いするときは、「ご助言を承りたく存じます」のようにすると、目的が明確になります。

感謝を前面に出すなら「賜る」、内容を聞き受けるなら「承る」と考えると、助言に関する表現も選びやすくなります。

ビジネスメールや接客で使える「賜る」と「承る」の例文

ビジネスメールや接客では、感謝や日頃の厚意を伝える挨拶には「賜る」を、注文・依頼・問い合わせなどを受け付ける場面には「承る」を使うと、丁寧で自然な印象になります。

相手への敬意を示しながら、何を受け取るのかに合わせて表現を選ぶことが大切です。

ここでは、そのまま使いやすい例文と、言い換えのポイントをご紹介します。

挨拶文やお礼で使う「賜る」の例文

「賜る」は、日頃の支援や厚意、指導などに対する感謝を伝える挨拶文によく用いられます。

とくに、取引先やお客様へ改まった気持ちを表したいメール、案内状、文書に向いています。

場面 例文
日頃の支援への感謝 平素より格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
来店への感謝 このたびはご来店を賜り、心より御礼申し上げます。
協力への感謝 本件につきまして、多大なるご協力を賜りましたことに深く感謝申し上げます。
指導への感謝 貴重なご指導を賜り、誠にありがとうございました。
今後の支援を願う挨拶 今後とも変わらぬご厚情を賜りますよう、お願い申し上げます。

「ご愛顧を賜り」や「ご厚情を賜り」は、定型的な挨拶として広く使われている表現です。

一方で、親しいお客様へのメールや日常的な連絡では、「ご利用いただき、ありがとうございます」のように、やわらかく伝えてもよいでしょう。

「賜る」は改まった表現なので、短い連絡のたびに重ねるよりも、感謝をきちんと伝えたい箇所で用いると読みやすくなります。

注文や依頼への返信で使う「承る」の例文

注文、予約、依頼、問い合わせへの返信では、「承る」を使うと、相手からの申し出を丁寧に受け付けたことを伝えられます。

受付完了の連絡では、何を承ったのかを具体的に書くと、行き違いを防ぎやすくなります。

場面 例文
注文受付 ご注文を承りました。
予約受付 ○月○日○時より、ご予約を承りました。
資料請求への返信 資料送付のご依頼を承りました。
変更依頼への返信 お届け先変更のご希望を承りました。
問い合わせ受付 お問い合わせを承りましたので、確認のうえご連絡いたします。

注文内容をメールで確認する場合は、品名や数量、日時などを続けて記載すると親切です。

たとえば、「ご注文を承りました。以下の内容で手配を進めます。」とすると、受付と次の対応がわかりやすく伝わります。

まだ対応の可否を確認する段階では、「承りました」だけで完結させず、「確認後、改めてご案内いたします」と添えると丁寧です。

電話応対や伝言で使う「承る」の例文

電話では、相手の用件や伝言を聞き取ったことを示す際に「承る」が役立ちます。

聞き取った内容を復唱し、担当者へ確実につなぐ姿勢を示す場面で使いやすい表現です。

  • 「ご用件を承ります。」
  • 「担当者に代わりまして、私が承ります。」
  • 「ご伝言を承りますので、お名前とご連絡先をお聞かせください。」
  • 「○○様からのお電話である旨、確かに承りました。」
  • 「ご要望を承り、担当部署へ申し伝えます。」

電話で急いでいる相手には、「承ります」を繰り返すより、要点を確認しながら簡潔に進めることが大切です。

たとえば、「承りました。念のため、○月○日までのご回答をご希望ということでよろしいでしょうか。」と確認すると、丁寧さと正確さの両方につながります。

担当者が不在の場合には、「戻りましたら、承った内容を申し伝えます。」と伝えると、落ち着いた印象になります。

不自然になりやすい表現と直し方

「賜る」と「承る」は丁寧な言葉ですが、敬意を重ねすぎると、かえって文章が硬く見えることがあります。

相手との関係や連絡の目的に合わせ、一文に敬語を詰め込みすぎないことを意識しましょう。

表現 整えた表現 ポイント
ご注文を賜りました。 ご注文を承りました。 受付完了の連絡には「承る」がなじみます。
ご愛顧を承り、ありがとうございます。 ご愛顧を賜り、ありがとうございます。 日頃の厚意への感謝には「賜る」を用います。
ご注文を承らせていただきます。 ご注文を承ります。 受付の意思を伝えるだけなら簡潔な形が自然です。
ご注文を承らせていただきました。 ご注文を承りました。 完了連絡では基本形ですっきりまとめられます。

「承らせていただく」は、相手から許可を得て行う行為を強調したい場合に使われることがあります。

ただし、通常の注文受付や問い合わせ対応では、「承ります」「承りました」で十分に丁寧です。

感謝を伝える文には「賜る」、受付や応対を示す文には「承る」という形を意識すると、メールでも接客でも言葉を選びやすくなります。

「いただく」「頂戴する」「伺う」「承知する」との使い分け

賜ると承るの違いとは?意味や使い分けを例文でやさしく解説

「賜る」や「承る」と似た丁寧表現でも、日常的に使いやすいのが「いただく」、物を受け取ることを改まって示すのが「頂戴する」、話を聞くことには「伺う」、内容を理解した返事には「承知する」です。

何をしたのかを基準に選ぶと、相手に伝わりやすく自然な敬語になります。

特にメールや電話では、一つの言葉ですべてを丁寧にしようとせず、受け取る・聞く・理解するという行動の違いを意識することが大切です。

言葉 主に表すこと 使いやすい場面
いただく 受け取る・してもらう 資料、時間、連絡、協力など
頂戴する 物や厚意を受け取る 名刺、資料、品物、時間など
伺う 聞く・尋ねる 説明、意見、希望、都合など
承知する 理解する・引き受ける意思を示す 依頼、連絡、変更内容などへの返答

やわらかく伝えるなら「いただく」

「いただく」は、「もらう」や「してもらう」を丁寧にした言葉で、幅広い場面になじみます。

改まりすぎず、相手への敬意を保ちながらやわらかく伝えたいときに便利です。

たとえば、資料や連絡を受ける場合だけでなく、時間や協力を得る場合にも使えます。

  • 資料をお送りいただき、ありがとうございます。

  • お時間をいただき、心より感謝申し上げます。

  • ご確認いただけますと幸いです。

「いただく」は依頼文にもお礼の文にも取り入れやすいため、普段のビジネスメールで迷ったときの基本の表現になります。

ただし、自分が相手の話を聞いたことを伝える場合は、「お話をいただく」よりも「お話を伺う」のほうが内容に合うことがあります。

物を受け取ることを丁寧に示すなら「頂戴する」

「頂戴する」は、物や好意を受け取ることを、より改まって表す言葉です。

名刺や資料、贈り物などを受け取る場面では、「頂戴する」を使うと丁寧で落ち着いた印象になります。

  • ありがたく名刺を頂戴いたします。

  • 本日は結構なお品を頂戴し、ありがとうございました。

  • 少々お時間を頂戴できますでしょうか。

「お時間を頂戴する」のように、形のある物以外にも使えます。

一方で、日常的なやり取りでは硬く感じられることもあるため、相手との関係や文章全体の雰囲気に合わせるとよいでしょう。

たとえば社内の気軽な連絡であれば、「資料をいただきました」とするほうが自然な場合もあります。

話を聞くことを表すなら「伺う」

「伺う」は、相手の話や意見、希望などを聞くときに使う謙譲語です。

単に情報を受け取ったのではなく、相手の言葉に耳を傾けたことを表したいときに向いています。

  • 詳しいお話を伺い、検討いたします。

  • ご希望を伺ったうえで、ご案内いたします。

  • 先ほどお電話で伺った内容を確認いたします。

「伺う」には訪問するという意味もありますが、「お話を伺う」「ご意見を伺う」のように目的語を添えると、聞く意味であることが明確になります。

また、相手の意見を求める場合にも、「ご都合を伺ってもよろしいでしょうか」と使えます。

これは、相手の考えや予定を丁寧に尋ねる表現です。

理解したことを伝えるなら「承知する」

「承知する」は、相手から聞いた内容や依頼を理解したことを伝える言葉です。

受け取った物そのものではなく、内容を把握したことへの返答に使います。

  • 日程変更の件、承知しました。

  • ご連絡いただいた内容、承知いたしました。

  • ご要望について承知し、対応を進めます。

「承知しました」は、連絡内容を理解したことを簡潔に伝えられる表現です。

ただし、詳しい説明を聞いたことを伝えたい場合には、「承知しました」だけでは聞く行為が伝わりにくいことがあります。

そのようなときは、「ご説明を伺い、内容を承知しました」のように、聞いたことと理解したことを分けて書くと丁寧です。

言葉の役割を整理すると、受け取るなら「いただく」「頂戴する」、聞くなら「伺う」、理解を伝えるなら「承知する」と選びやすくなります。

「賜る」の送り仮名は「賜る」が一般的

「たまわる」を書くときは、「賜る」と表記するのが一般的です。

「賜わる」という書き方も見かけますが、現代の文章では「賜る」にそろえると、読みやすく整った印象になります。

とくにビジネスメール、案内状、あいさつ文などでは、送り仮名を一般的な表記に統一しておくと安心です。

パソコンやスマートフォンで変換した際に「賜わる」と表示されることもありますが、迷った場合は「賜る」を選ぶとよいでしょう。

表記 読み方 文章での扱い
賜る たまわる 現代の文章で一般的な表記
賜わる たまわる 見かけることはあるが、表記を統一するなら「賜る」が無難

同じ文書の中で「賜る」と「賜わる」が混ざると、内容に間違いがなくても少しちぐはぐに見えることがあります。

社内文書や定型文では、過去の案内文や表記ルールを確認し、全体でそろえることも大切です。

「賜る」と「賜わる」の表記の違い

「賜る」と「賜わる」は、どちらも「たまわる」と読みます。

違いは意味ではなく、主に送り仮名の付け方にあります。

「賜わる」の「わ」は、古い言葉の形や発音の名残を意識した表記として用いられることがあります。

一方で、現在広く使われる表記では、漢字の後に「る」を付ける「賜る」が定着しています。

そのため、一般向けの文章では「賜る」と書いたほうが、読者がすぐに意味を受け取りやすいでしょう。

たとえば、次のように表記を整えられます。

  • ご厚意を賜り、ありがとうございます
  • 格別のご高配を賜りますようお願い申し上げます
  • ご支援を賜り、心より感謝申し上げます

なお、古い書籍の引用、歴史的な資料、組織内で決められた書式などでは、「賜わる」が使われている場合もあります。

そのようなときは、引用元の表記を尊重したり、組織のルールに合わせたりして問題ありません。

自分で新しく文章を書く場合には、基本は「賜る」と覚えておくと迷いにくくなります。

「賜る」と「承る」の成り立ち

「賜る」と「承る」は、どちらも漢字一字に「る」が付く形ですが、言葉の成り立ちは同じではありません。

「賜る」は、古くからある「賜う」という言葉につながる表現で、現代では「賜る」という表記が広く用いられています。

「承る」は、「受け賜わる」といった古い表現が縮まってできたとされる言葉です。

「承」の字には、受け止める、引き受ける、伝え聞くといった意味合いがあり、「承る」の表記にはそのイメージが表れています。

ただし、「承る」を「承わる」と書く必要はありません。

「承る」は一つの決まった語として定着しているため、送り仮名は「る」だけにします。

言葉 一般的な表記 表記を見るときのポイント
たまわる 賜る 「賜わる」も見かけるが、通常は「賜る」にそろえる
うけたまわる 承る 「承る」で一語として覚える

見た目が似ている言葉ほど、漢字の印象だけで送り仮名を増やしたくなるかもしれません。

けれども、「賜る」は「賜る」、「承る」は「承る」と、それぞれの形をそのまま覚えるのが確実です。

文章を仕上げる前には、「賜わる」になっていないか、「承わる」と書いていないかを確認すると、表記のゆれを防ぎやすくなります。

まとめ

この記事のポイントをまとめます。

  • 「賜る」は、物・言葉・厚意などをありがたくいただく意味で使います。
  • 「承る」は、話を聞く、注文や依頼を受ける、引き受ける意味を持つ言葉です。
  • 「承る」は自分側の行為をへりくだって表す謙譲語です。
  • 「賜る」は文の主語によって、謙譲語にも尊敬語にもなります。
  • 贈り物やご支援、お言葉への感謝には「賜る」が適しています。
  • 注文・予約・問い合わせ・依頼の受付には「承る」を使うと自然です。
  • 言葉や助言は、感謝を伝えるなら「賜る」、内容を聞き受けるなら「承る」を選びます。
  • 「賜る」の表記は、一般的に「賜る」と書くと読みやすく整います。

「賜る」と「承る」はどちらも丁寧な言葉ですが、受け取るものが厚意や贈り物なら「賜る」、用件や依頼、話の内容なら「承る」と考えると選びやすくなります。

迷ったときは、まず「何を受け取ったのか」を確認してみてください。

日常のメールでは無理に難しい表現を重ねず、相手との関係や場面に合う言葉を選ぶことも大切です。

基本の違いを押さえておけば、あいさつ文や接客、仕事のやり取りでも、落ち着いて気持ちのよい表現ができるでしょう。