「山」は「やま」なのに、熟語になると「サン」と読むのはなぜ?と、音読みと訓読みの違いで迷った経験がある方も多いのではないでしょうか。
漢字には複数の読み方があり、送り仮名や熟語の形を見ても、すぐには判断しにくい言葉があります。
音読みと訓読みの基本を知ると、漢字の読み方をただ暗記するのではなく、言葉の成り立ちや使われ方から考えられるようになります。
この記事では、音読みと訓読みの違いから見分け方の目安、例外となる読み方まで、身近な例を交えながらやさしく解説します。
重箱読み・湯桶読みや熟字訓も知ることで、漢字の読み方への苦手意識を少しずつ減らしていきましょう。
この記事でわかること
- 音読みと訓読みの成り立ちと基本的な違い
- 送り仮名や熟語から読み方を見分ける目安
- 重箱読み・湯桶読み、熟字訓の特徴
- 辞書で音読みと訓読みを確認する方法と覚え方
音読みは中国由来の読み方、訓読みは日本の言葉を当てた読み方

音読みと訓読みの違いは、漢字が日本に伝わる前からあった中国由来の音を読むか、日本にもともとあった言葉に漢字を当てて読むかにあります。
たとえば「山」は「サン」と読めば音読み、「やま」と読めば訓読みです。
どちらも漢字を正しく読むために大切な読み方であり、漢字と日本語が長い時間をかけて結び付いてきた歴史が表れています。
| 読み方 | 成り立ち | 「山」の例 |
|---|---|---|
| 音読み | 中国から伝わった漢字の音を、日本語で読める形にしたもの | サン |
| 訓読み | 日本にもともとあった言葉に、意味の近い漢字を当てたもの | やま |
「山」のサンが音読み、やまが訓読み
「山」という漢字には、「サン」と「やま」という代表的な二つの読み方があります。
このうち「サン」は、中国で使われていた漢字の発音をもとに日本語へ取り入れた読み方なので、音読みと呼ばれます。
一方の「やま」は、日本で昔から使われてきた「やま」という言葉に、「山」の字を対応させた読み方です。
そのため「やま」は訓読みになります。
訓読みの「訓」には、漢字の意味を日本語の言葉で説明する、というイメージがあります。
「山」が表す、土や岩が高く盛り上がった地形を、日本語では古くから「やま」と呼んでいました。
そこへ意味が同じ「山」という漢字が伝わったため、「山=やま」という結び付きが生まれたのです。
音読みの「サン」は、現在の中国語の発音をそのまま表したものではありません。
日本に伝わった当時の中国語の音をもとに、日本語の音として定着した読み方だと考えるとわかりやすいでしょう。
音読みは漢字の「音」に着目した読み方、訓読みは漢字の「意味」に日本語を結び付けた読み方と捉えると、基本的な違いを整理できます。
同じように、「川」は「セン」が音読みで「かわ」が訓読み、「花」は「カ」が音読みで「はな」が訓読みです。
漢字一字に複数の読み方があるのは、音読みと訓読みが並んで使われているためです。
音読みと訓読みは漢字が日本に伝わった過程で生まれた
日本では、漢字が伝わる以前から、日本語を話し、物や自然、気持ちなどに名前を付けていました。
たとえば「山」「川」「雨」「木」といった身近なものにも、すでに「やま」「かわ」「あめ」「き」という日本語の呼び名がありました。
その後、中国から文字である漢字が伝わると、日本の人々は漢字を二つの方法で受け入れていきました。
一つは、漢字とともに伝わった音を日本語になじむ形で使う方法です。
これが音読みにつながっています。
もう一つは、漢字が持つ意味に合う日本語を当てる方法です。
これが訓読みにつながっています。
たとえば「水」という字を見たとき、中国由来の音をもとにした「スイ」という読み方がある一方、日本語として昔から使われてきた「みず」という言葉もあります。
このように、一つの漢字に音読みと訓読みがあるのは、異なる文化や言葉が日本語の中で自然に重なってきたためです。
漢字はただの記号ではなく、伝わってきた音と、日本で育まれた言葉の両方を受け止めてきた文字だといえます。
音読みと訓読みを知ることは、漢字の読み方だけでなく、日本語が形づくられてきた背景に触れることにもつながります。
音読みと訓読みは意味・送り仮名・熟語から見分けられる
音読みと訓読みは、言葉だけで意味が伝わるか、送り仮名が付くか、漢字が熟語になっているかを順に見ると見分けやすくなります。
すべての漢字にそのまま当てはまるわけではありませんが、まずは使われている言葉全体に注目することが大切です。
一字ずつ暗記しようとするより、漢字がどのような言葉になっているかを見ると、読み方の傾向をつかみやすいでしょう。
| 見るポイント | 訓読みが多い形 | 音読みが使われやすい形 |
|---|---|---|
| 意味の伝わり方 | 「山」「白い」など、日常の言葉として意味が浮かびやすい | 「登山」「白紙」など、漢字を組み合わせた言葉になっている |
| 送り仮名 | 「読む」「新しい」など、送り仮名が付く | 「読書」「新年」など、送り仮名がない熟語 |
| 漢字の数 | 漢字一字で使われることが多い | 漢字二字以上でまとまることが多い |
読みだけで意味が伝わりやすいものは訓読みが多い
「やま」「かわ」「あかい」「たべる」のように、聞いただけで身近な物や動作、様子を思い浮かべやすい言葉は、訓読みであることが多いです。
たとえば「山」は「やま」、「赤」は「あか」、「食」は「たべる」と読むと、それぞれ自然な日本語の言葉として意味が伝わります。
このような読み方は、物の名前や動作、状態を表す場面でよく使われます。
漢字を見たときに、「これは普段から単独で使う言葉かな」と考えると、訓読みを予想する手掛かりになります。
- 山道(やまみち)の「山」は、山そのものを表すため訓読みです。
- 白い(しろい)の「白」は、色の様子を表すため訓読みです。
- 手紙(てがみ)の「手」は、体の部分を表す言葉として訓読みです。
ただし、漢字一字でも言葉の種類によっては音読みになる場合があるため、意味だけで決めつけず、次のポイントも合わせて確認しましょう。
送り仮名が付く読みは訓読みが多い
漢字の後ろにひらがなが続く送り仮名がある形は、訓読みを見分ける分かりやすい目印です。
「書く」「見える」「高い」「静か」のように、動作や状態を表す言葉では、漢字の一部をひらがなで補うことがよくあります。
たとえば「書く」は「かく」、「起きる」は「おきる」、「広い」は「ひろい」と読みます。
送り仮名には、動詞の形や形容詞の変化を分かりやすくする役割があります。
| 言葉 | 読み方 | 注目する点 |
|---|---|---|
| 話す | はなす | 「す」が送り仮名になっている |
| 深い | ふかい | 「い」が送り仮名になっている |
| 美しい | うつくしい | 漢字の意味に合う日本語の言葉になっている |
ただし、「お茶」や「お皿」の「お」のように、送り仮名とは別のひらがなが付く表記もあります。
ひらがなが見えたら、そのひらがなが漢字の読みを続けるためのものかを確かめるとよいでしょう。
漢字二字の熟語では音読みが使われやすい
「学校」「時間」「読書」のように、漢字二字が結び付いた熟語では、音読みが使われやすい傾向があります。
たとえば「学」は「ガク」、「校」は「コウ」と読み、「学校」は「ガッコウ」になります。
また、「電車」は「デンシャ」、「安心」は「アンシン」、「文化」は「ブンカ」と読みます。
熟語は、複数の漢字を組み合わせて一つのまとまった意味を表す言葉です。
そのため、見慣れない漢字でも二字熟語であれば、まず音読みの可能性を考えると読みを探しやすくなります。
- 「人口」は「ジンコウ」と読み、二字とも音読みです。
- 「大切」は「タイセツ」と読み、二字のまとまりで意味を表します。
- 「自然」は「シゼン」と読み、日常的によく使われる熟語です。
ただし、漢字二字だからといって必ず同じ種類の読みになるとは限りません。
ここでは、熟語なら音読みが選ばれやすいという基本的な傾向として覚えておくと役立ちます。
読みの長さや語尾は補助的な手掛かりになる
訓読みは「あたらしい」「よろこぶ」のように読みが長くなったり、「い」「る」「く」などの語尾が付いたりすることがあります。
一方で音読みは「シン」「コウ」「セツ」のように、比較的短い音で区切られることが多いです。
たとえば「新しい」は「あたらしい」と長く読みますが、「新聞」は「シンブン」と漢字ごとの短い音がつながっています。
この違いは便利な目安ですが、読みの長さだけで判断するのは難しいものです。
迷ったときは、次の順番で確認してみてください。
- 漢字一字で身近な物や動作を表しているなら、訓読みを考えます。
- 送り仮名が付いているなら、訓読みの可能性を確かめます。
- 漢字二字の熟語なら、音読みの可能性を確認します。
- 最後に、読みの長さや語尾を補助的な手掛かりにします。
このように複数の手掛かりを重ねると、初めて見る言葉でも読み方を考えやすくなります。
見分け方には例外があり、一つの規則だけでは判断できない
音読みと訓読みには見分けるための目安がありますが、一つの規則だけで必ず判断できるわけではありません。
送り仮名や漢字の数を手掛かりにしつつ、言葉全体の読み方を確認することが大切です。
とくに、送り仮名が付く言葉、漢字二字の言葉、人名や地名では、基本的な傾向だけでは迷う場合があります。
送り仮名が付いていても音読みを含む言葉がある
送り仮名がある言葉は訓読みと思われやすいですが、漢字を音読みしてから送り仮名を付ける言葉もあります。
たとえば「信じる」は「しんじる」と読み、「信」の部分には「シン」という音読みが使われています。
「感じる」も「かんじる」と読み、「感」は「カン」という音読みです。
このような言葉では、漢字の後ろに「じる」「する」などが続くため、見た目だけで訓読みと決めることはできません。
| 言葉 | 読み方 | 漢字に使われている読みの例 |
|---|---|---|
| 信じる | しんじる | 信=シン |
| 感じる | かんじる | 感=カン |
| 達する | たっする | 達=タツ |
送り仮名は大切な手掛かりですが、「送り仮名があるから訓読み」とは限らないことを覚えておくと安心です。
知らない言葉に出会ったときは、送り仮名だけを見るのではなく、漢字の前半を短く読めないかも確かめてみましょう。
漢字二字の熟語が必ず音読みになるとは限らない
漢字二字の言葉には音読みがよく使われますが、二字とも訓読みで読む言葉もあります。
たとえば「青空」は「あおぞら」、「手紙」は「てがみ」と読みます。
どちらも漢字二字でできていますが、日常の言葉として日本語の読みが使われています。
「入口」も「いりぐち」と読み、二つの漢字をそれぞれ訓読みしています。
- 青空:あおぞら
- 手紙:てがみ
- 入口:いりぐち
- 雨水:あまみず
このような言葉は、漢字を一字ずつ機械的に読むよりも、言葉のまとまりとして覚えるほうが自然です。
また、二字の言葉には読み方の組み合わせがさまざまにあるため、漢字の数だけを判断材料にするのは十分ではありません。
漢字二字なら必ず音読み、という考え方は目安にとどめましょう。
読み方に迷った場合は、その言葉が会話の中でどのように使われるかを思い浮かべると、知っている言葉として思い出せることがあります。
人名や地名には独自の読み方が多い
人名や地名は、一般的な音読み・訓読みの規則だけでは読みにくいことがあります。
名前には家族の思いや地域の歴史が関わることがあり、同じ漢字でも複数の読み方が使われます。
たとえば「大和」は、地名や人名では「やまと」と読まれることがあります。
「一」という漢字も、名前では「はじめ」「かず」など、文脈によって異なる読み方が選ばれます。
地名では「日向」が「ひゅうが」や「ひなた」のように読まれる例があり、表記だけから正確な読みを決めるのは難しい場合があります。
人名は本人や家族が用いる読み方を尊重し、地名は自治体や駅、施設などの表記を確認するのが確実です。
とくに初めて目にする固有名詞は、規則を当てはめて推測しすぎず、正式な読みを確かめる姿勢が役立ちます。
音読みと訓読みの知識は読み方を考える大きな助けになりますが、例外もあるからこそ、言葉ごとに丁寧に見ることが大切です。
音読みと訓読みが混ざる熟語には重箱読みと湯桶読みがある

二字の熟語の中には、音読みだけ、または訓読みだけで読まれない言葉もあります。
最初の漢字が音読みで次が訓読みなら「重箱読み」、最初が訓読みで次が音読みなら「湯桶読み」と呼びます。
名前は少し難しく感じるかもしれませんが、身近な言葉にも多く使われている読み方です。
「重箱」と「湯桶」は、それぞれ読み方の組み合わせを表す代表例になっています。
重箱は「ジュウ(音読み)・ばこ(訓読み)」、湯桶は「ゆ(訓読み)・トウ(音読み)」と読むため、そのまま呼び名に用いられています。
二字熟語を見たときに音読みと訓読みが混ざっていても、誤った読み方とは限らないことを知っておくと、言葉を自然に受け止めやすくなります。
音読みから訓読みへ続く「重箱読み」
重箱読みは、一字目を音読み、二字目を訓読みで読む組み合わせです。
代表的な例である「重箱」は、「重」を「ジュウ」、「箱」を「はこ」と読み、言葉の中では「じゅうばこ」となります。
後ろの漢字の読み方がつながりやすくなるように、「はこ」が「ばこ」のように濁って発音されることもあります。
| 言葉 | 読み方 | 読みの組み合わせ |
|---|---|---|
| 重箱 | じゅうばこ | 重=音読み/箱=訓読み |
| 台所 | だいどころ | 台=音読み/所=訓読み |
| 本棚 | ほんだな | 本=音読み/棚=訓読み |
| 額縁 | がくぶち | 額=音読み/縁=訓読み |
たとえば「台所」は、「台」を「ダイ」と読み、「所」を「ところ」と読む言葉です。
「本棚」も、「本」は「ホン」、「棚」は「たな」がもとになっています。
このように、前の漢字を漢語らしい音で読み、後ろの漢字に日本語としての読みを続ける形が重箱読みです。
重箱読みには、生活の中で長く使われてきた言葉が多く、一語として覚えているため混ざった読み方だと意識しないことも少なくありません。
読み方を考える際は、二つの漢字を別々に見るだけでなく、「台所」「本棚」のように意味のあるまとまりとして声に出してみると分かりやすいでしょう。
訓読みから音読みへ続く「湯桶読み」
湯桶読みは、一字目を訓読み、二字目を音読みで読む組み合わせです。
「湯桶」は、「湯」を「ゆ」、「桶」を「トウ」と読むため、「ゆとう」と読みます。
重箱読みとは、音読みと訓読みが並ぶ順番が反対になる点が特徴です。
| 言葉 | 読み方 | 読みの組み合わせ |
|---|---|---|
| 湯桶 | ゆとう | 湯=訓読み/桶=音読み |
| 手帳 | てちょう | 手=訓読み/帳=音読み |
| 雨具 | あまぐ | 雨=訓読み/具=音読み |
| 夕刊 | ゆうかん | 夕=訓読み/刊=音読み |
「手帳」は、「手」を「て」、「帳」を「チョウ」と読む湯桶読みです。
「雨具」も、「雨」の「あま」に、「具」の「グ」が続いています。
また、「夕刊」は「夕」を「ゆう」、「刊」を「カン」と読むため、前が訓読み、後ろが音読みの形になっています。
湯桶読みは、前の漢字が身近な物事や様子を表し、後ろの漢字が種類や用途を示す言葉で見られることがあります。
ただし、言葉の成り立ちは一つひとつ異なるため、形だけで無理に判断するよりも、よく使う熟語として読みと意味を一緒に覚えることが大切です。
- 「じゅうばこ」のように音読みから訓読みへ続けば、重箱読みです。
- 「ゆとう」のように訓読みから音読みへ続けば、湯桶読みです。
- どちらも二種類の読みが混ざった、自然な熟語の読み方です。
重箱読みと湯桶読みを知ると、漢字二字の言葉にはさまざまな読みの組み合わせがあることに気づけます。
「これは音読みだけの熟語だろう」と決めつけず、言葉全体の読みを確かめる習慣をつけると、読み間違いを減らす助けになります。
熟字訓は熟語全体に日本語の読みを当てたもの
熟字訓とは、二字以上の漢字のまとまり全体に、日本語としての読みを当てる読み方です。
漢字を一字ずつ分けて読むのではなく、言葉全体で「きょう」「おとな」のように読むため、個々の漢字の読みだけでは判断しにくいことがあります。
熟字訓に出会ったときは、漢字ごとの読みを無理に当てはめるよりも、熟語と読みを一組の言葉として覚えることがポイントです。
「今日」や「大人」は一字ずつ読みを分けにくい
たとえば「今日」は「きょう」、「大人」は「おとな」と読みます。
これらは、それぞれの漢字に「きょ」「う」や「お」「とな」という読みを振り分けているわけではありません。
熟語全体で一つの日本語の言葉になっているため、一字ずつの読みとして考えると分かりにくくなります。
| 熟字訓の例 | 読み方 | 言葉全体の意味 |
|---|---|---|
| 今日 | きょう | この日、いまの日 |
| 大人 | おとな | 成長した人 |
| 明日 | あした | 次の日 |
| 一昨日 | おととい | おとといの日 |
| 五月雨 | さみだれ | 初夏のころに続く雨 |
「明日」には「あす」や「みょうにち」、「今日」には「こんにち」といった別の読み方もあります。
同じ漢字の組み合わせでも、どの読み方をするかによって、熟字訓として扱われる場合とそうでない場合がある点に注意しましょう。
たとえば「今日」を「きょう」と読む場合は熟字訓として知られていますが、「こんにち」は漢字ごとの音をもとにした読み方です。
読み方は文章の内容や、言葉が使われる場面に合わせて選ばれています。
熟字訓には、日常的によく使う言葉が多く含まれます。
そのため、初めて見る表記でも意味は分かるのに、声に出して読もうとすると迷うことがあります。
迷ったときは「漢字を一字ずつ読む言葉か、それとも昔からある日本語の言葉を漢字で表したものか」を考えると、理解の手がかりになります。
熟字訓と一般的な訓読みの違い
一般的な訓読みは、漢字一字に日本語の言葉を対応させる読み方です。
たとえば「山」を「やま」、「白」を「しろ」、「見る」を「みる」と読む場合は、それぞれの漢字に対応する訓読みと考えられます。
一方で熟字訓は、複数の漢字をまとめて読んだときに成り立つ読み方です。
| 比べる点 | 一般的な訓読み | 熟字訓 |
|---|---|---|
| 読みの単位 | 基本的に漢字一字 | 二字以上の熟語全体 |
| 例 | 山=やま 白い=しろい |
今日=きょう 大人=おとな |
| 覚え方 | 漢字と読みを結び付ける | 熟語の意味と読みをまとめて覚える |
| 特徴 | 送り仮名が付く言葉にも多い | 一字ずつでは読みを説明しにくい |
一般的な訓読みでは、「山道」を「やまみち」のように、漢字ごとの日本語の読みが自然につながることがあります。
これに対して「大人」を「おおひと」とは読まないため、「おとな」は熟語全体で覚える必要があります。
ただし、どこまでを熟字訓と呼ぶかは辞書や学習資料で示し方が異なることもあります。
大切なのは名称だけを覚えることではなく、その言葉が実際にどのように読まれ、どのような意味で使われるかを確認することです。
- 漢字一字ずつに読みを対応させにくい
- 昔から使われてきた日本語の言葉として自然に読まれる
- 熟語全体の読みと意味を一緒に覚えると定着しやすい
熟字訓は規則だけで読みを導くよりも、言葉に親しむ中で少しずつ身に付けていく読み方です。
新聞の見出しや本、学校で学ぶ言葉などで見つけたら、漢字と読みをセットで確認してみるとよいでしょう。
一つの漢字に複数の音読みと訓読みがある理由
一つの漢字に読み方がいくつもあるのは、漢字が異なる時代や地域から日本へ伝わったことと、日本語の中にも意味の近い言葉が複数あったことが主な理由です。
音読みと訓読みは一度に決まったものではなく、長い時間をかけて日本語の中で使い分けられるようになりました。
読みが多い漢字ほど、歴史の中でさまざまな言葉と結び付いてきたと考えると、少し理解しやすくなるでしょう。
音読みは伝わった時代や地域によって異なる
音読みは、中国の漢字の発音をもとにして日本で取り入れられた読み方です。
ただし、漢字は一度に同じ場所から伝わったのではなく、時代や地域ごとに異なる発音が日本へ伝わりました。
そのため、同じ漢字でも複数の音読みを持つことがあります。
音読みは、伝わり方の違いから、一般に呉音・漢音・唐音などに分けて説明されることがあります。
| 漢字 | 音読みの例 | 使われる言葉の例 |
|---|---|---|
| 行 | ギョウ・コウ・アン | 行事・銀行・行脚 |
| 正 | ショウ・セイ | 正月・正確 |
| 明 | ミョウ・メイ | 明日・説明 |
たとえば「行」は、「行事」のようにギョウと読む場合もあれば、「銀行」のようにコウと読む場合もあります。
どちらかが誤りなのではなく、異なる経路で伝わった音が、日本語の言葉として定着したものです。
現在では、言葉ごとにどの音読みを使うかがほぼ決まっているため、熟語全体で確認することが大切です。
訓読みは意味の近い複数の日本語が当てられた
訓読みは、漢字が伝わる前から日本にあった言葉のうち、意味が近いものを漢字に当てた読み方です。
日本語には、同じような意味を表していても、場面や動きの違いによって使い分ける言葉があります。
そのため、一つの漢字に複数の訓読みが付くことがあります。
| 漢字 | 訓読みの例 | 意味の違いの目安 |
|---|---|---|
| 上 | うえ・あがる・のぼる | 位置・高くなる動き・目的地へ進む動き |
| 開 | あく・あける・ひらく | 自然に開く・開く動作・広げる動作 |
| 生 | いきる・うむ・なま | 生命を保つ・生み出す・加熱していない状態 |
「開く」という漢字では、「店があく」と「ドアをあける」、「会議をひらく」のように、誰が動作をするのかや何を開くのかによって言葉が変わります。
これらは意味がまったく別というより、「閉じているものを開いた状態にする」という共通したイメージを持っています。
訓読みが複数あるときは、漢字だけを見るよりも、前後の言葉から意味を考えると選びやすくなります。
- 物の位置や状態を表す読み
- 人や物の動きを表す読み
- 人に対して行う動作を表す読み
- 昔からある言い回しに残った読み
このような違いが積み重なり、一つの漢字にいくつもの訓読みが残っています。
音読みが現代中国語の発音と異なるのは長い年月で発音が変化したため
日本語の音読みと現代中国語の発音が異なることがあるのは、漢字が日本へ伝わってから長い年月が過ぎ、その間に発音が変化してきたためです。
日本に伝わった音は、当時の中国の発音をそのまま写したものではなく、日本語で発音しやすい形に調整されながら受け入れられました。
さらに、中国でも地域ごとに発音の違いがあり、時代とともに音の変化が続いています。
そのため、現在の中国語の標準的な発音と日本の音読みを比べても、同じように聞こえない場合があります。
たとえば、日本語の音読みには「ン」や長い音を含むものがありますが、こうした形は日本語の音の仕組みに合わせて定着してきたものです。
音読みは現代中国語をそのまま読んだものではなく、日本語の中で受け継がれてきた読み方として捉えるとよいでしょう。
複数の読み方は複雑に感じられますが、漢字が日本語の歴史とともに豊かな言葉へ育ってきた証しでもあります。
辞書では音読みをカタカナ、訓読みをひらがなで示す

漢字辞書では、音読みはカタカナ、訓読みはひらがなで載せるのが一般的です。
表記の違いを見れば、その読み方が音読みか訓読みかを辞書で確認しやすくなります。
さらに、訓読みには送り仮名の付け方も示されているため、漢字を正しく使うときの手がかりにもなります。
表記の違いは読み方を区別しやすくするため
一つの漢字には複数の読み方があるため、辞書ではカタカナとひらがなを使い分けて、読みの種類をひと目でわかるようにしています。
たとえば「山」を辞書で引くと、「サン」と「やま」のように載っています。
この場合、カタカナの「サン」が音読み、ひらがなの「やま」が訓読みです。
カタカナかひらがなかを見るだけで、読み方の区別を確認できるのが辞書表記の便利なところです。
| 漢字 | 辞書での表記例 | 読みの種類 | 言葉の例 |
|---|---|---|---|
| 山 | サン/やま | サン:音読み やま:訓読み |
火山/山道 |
| 書 | ショ/か-く | ショ:音読み か-く:訓読み |
読書/書く |
| 白 | ハク/しろ・しろ-い | ハク:音読み しろ・しろ-い:訓読み |
白紙/白い |
辞書によって記号の種類や並べ方に小さな違いはありますが、「カタカナ=音読み、ひらがな=訓読み」という基本は共通しています。
漢字を調べるときは、読み方だけを覚えるのではなく、どちらの文字で示されているかにも目を向けると理解が深まります。
ただし、辞書に載っている読みがすべて日常的によく使われるとは限りません。
見慣れない読みには、使われる場面や言葉が限られているものもあるため、用例もあわせて確認すると安心です。
辞書の読み方と送り仮名の確認方法
訓読みを調べる際は、ひらがなで示された読みとともに、送り仮名の位置を確認することが大切です。
辞書では「か-く」「あか-い」のように、漢字の後に続くひらがなをわかりやすく示すため、途中に「-」を入れることがあります。
この「-」は発音する記号ではなく、漢字と送り仮名の境目を表す目印です。
| 辞書の表記 | 実際の書き方 | 確認できること |
|---|---|---|
| か-く | 書く | 「く」が送り仮名 |
| よ-む | 読む | 「む」が送り仮名 |
| あたら-しい | 新しい | 「しい」が送り仮名 |
| しろ・しろ-い | 白、白い | 名詞と形容詞で使い方が異なる |
たとえば「書」という漢字を引いて「か-く」とあれば、「書く」と書くこと、そして「かく」が訓読みであることを同時に確認できます。
「書く」のように活用する言葉では、辞書は基本となる形を載せているため、文章の中では「書かない」「書けば」などの形に変わります。
送り仮名に迷ったときは、漢字だけで判断せず、辞書に示された語の形をそのまま見比べる方法が役立ちます。
- 調べたい漢字を辞書で引く。
- カタカナで示された読みと、ひらがなで示された読みを分けて見る。
- 訓読みの場合は、「-」の後にある送り仮名を確認する。
- 用例を見て、自分が書きたい言葉と同じ形かを確かめる。
特に同じ漢字を使う言葉が複数ある場合は、送り仮名まで確認することで、書きたい言葉を選びやすくなります。
辞書の表記は単なる記号ではなく、漢字の読み方と書き方を正確につなぐ案内として活用できます。
音読みと訓読みは漢字を言葉のまとまりで覚えると身に付きやすい
音読みと訓読みを覚えるときは、漢字一字だけを暗記するよりも、実際に使う言葉のまとまりで覚える方法が役立ちます。
音読みは熟語と結び付け、訓読みは送り仮名を含む言葉として覚えると、文章の中で迷いにくくなります。
すべてを一度に覚えようとせず、普段から目にする言葉を少しずつ増やしていくことが、無理なく続けるコツです。
音読みは熟語、訓読みは送り仮名と一緒に覚える
音読みは「学校」「読書」のように、二字以上の熟語の中で使われることが多いため、熟語を一組にして覚えると記憶に残りやすくなります。
たとえば「学」は「学校」の「がく」、「読」は「読書」の「どく」のように、意味のわかる言葉と一緒に声に出してみると覚えやすいでしょう。
一方、訓読みは「学ぶ」「読む」「書く」のように、送り仮名まで含めて書いたり読んだりすることが大切です。
漢字だけを見て「読=よ」と覚えるのではなく、「読む=よむ」と言葉の形で覚えると、書く場面にもつなげやすくなります。
| 覚え方 | 例 | 意識したいポイント |
|---|---|---|
| 音読み | 学(がく)→ 学校、学年 | 熟語をいくつか並べて覚える |
| 訓読み | 学(まな)ぶ → 学ぶ | 送り仮名を含めて覚える |
| 音読み | 読(どく)→ 読書、音読 | 意味をイメージしながら読む |
| 訓読み | 読(よ)む → 読む | 活用した形にも目を向ける |
ノートに書くときは、音読みの熟語と訓読みの言葉を左右に分けると、違いが目で見てわかりやすくなります。
同じ漢字の音読みと訓読みを対にして整理する
一つの漢字について音読みと訓読みを別々に覚えるより、同じ漢字の読み方を対にして比べると、使い分けの感覚が育ちます。
たとえば「食」なら「食事」の「しょく」と、「食べる」の「たべる」を並べて確認します。
同じ漢字でも、言葉によって読み方が変わることを自然に受け止められるようになります。
- 行:銀行(ぎんこう)/行く(いく)
- 見:意見(いけん)/見る(みる)
- 高:高校(こうこう)/高い(たかい)
- 話:会話(かいわ)/話す(はなす)
このような組み合わせを自分で集めると、漢字を単なる文字ではなく、使える言葉として覚えられます。
毎日一組だけ選び、熟語と送り仮名のある言葉を一つずつ書いてみる方法でも十分です。
例外は身近な言葉から少しずつ覚える
漢字の読み方には、覚え方だけではすぐに判断しにくい言葉もあります。
そのような言葉に出会ったときは、無理に一つの決まりに当てはめようとせず、その言葉全体の読みとして覚えるのがおすすめです。
たとえば、家族との会話、学校のお知らせ、駅や店の案内など、日常で何度も見る言葉から覚えると定着しやすくなります。
読めなかった言葉や迷った言葉は、小さなメモに残しておくと、次に見かけたときに確認できます。
- 気になった漢字や言葉を一つ見つけます。
- 言葉全体の読み方を確認します。
- 短い例文と一緒にメモします。
- 数日後にもう一度読んでみます。
「知らなかった読み」を集めるノートは、自分に合った漢字帳になります。
小学生向けの練習問題で見分け方を定着させる
音読みと訓読みの学習では、短い問題を繰り返すことで、言葉を見たときの判断が少しずつ速くなります。
最初は答えを急がず、熟語か、送り仮名のある言葉かを見ながら取り組むとよいでしょう。
練習問題:次の下線部分の読み方を、音読み・訓読みのどちらか考えてみましょう。
- ① 本屋
- ② 本を読む
- ③ 雨天
- ④ 雨が降る
- ⑤ 力士
- ⑥ 力を入れる
答えは、①音読み、②訓読み、③音読み、④訓読み、⑤音読み、⑥訓読みです。
答え合わせの後は、読み方だけで終わらせず、「本屋」「雨天」「力士」を声に出して読むと、熟語の形が覚えやすくなります。
迷った問題には印を付け、翌日にもう一度解き直してみましょう。
少ない問題を繰り返すことが、音読みと訓読みを自分の言葉として身に付ける近道になります。
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- 音読みは中国から伝わった音に基づく読み方、訓読みは日本にもともとあった言葉に漢字を当てた読み方です。
- 「山」は「サン」が音読み、「やま」が訓読みです。
- 送り仮名の有無や熟語の形は、読み方を見分ける目安になります。
- 送り仮名が付く言葉や二字熟語にも例外があるため、言葉全体で確認することが大切です。
- 音読みと訓読みが混ざる熟語には、重箱読みと湯桶読みがあります。
- 「今日」「大人」などの熟字訓は、熟語全体で読みを覚えるのが基本です。
- 一つの漢字に複数の読みがあるのは、漢字と日本語が長い時間をかけて結び付いてきたためです。
- 辞書では一般的に、音読みはカタカナ、訓読みはひらがなで示されます。
- 漢字は一字だけで覚えず、熟語や送り仮名を含む言葉として覚えると身に付きやすくなります。
音読みと訓読みは、最初からすべてを完璧に見分けようとしなくても大丈夫です。
まずは「学校」「読書」のような熟語と、「読む」「大きい」のような送り仮名のある言葉を比べながら、身近な漢字に触れてみてください。
迷ったときは辞書で読み方を確かめる習慣を付けると、少しずつ漢字への苦手意識がやわらぎます。
日常で出会う言葉を一つずつ覚えていけば、文章を読むときも書くときも、自然と自信につながっていくでしょう。

