顧みると省みるの違いとは?意味と使い分けを例文で解説

日本語・言葉

「顧みる」と「省みる」はどちらも「かえりみる」と読むため、文章を書くときにどちらの漢字を選べばよいか迷うことがあります。

似た言葉に見えても、目を向ける対象が異なるため、意味に合わない漢字を使うと、伝えたい内容が少しずれてしまうかもしれません。

「過去の出来事を振り返るなら?」「自分の行動を見直すなら?」といった疑問は、外側に目を向けるのか、自分の内側を見つめるのかを意識すると整理しやすくなります。

この記事では、「顧みる」と「省みる」の意味や使い分けを例文とともにわかりやすく解説し、ビジネス文書で自然に使うためのポイントや「鑑みる」との違いもご紹介します。

この記事でわかること

  • 「顧みる」と「省みる」の基本的な意味と、目を向ける対象の違い
  • 過去・周囲への配慮に使う「顧みる」の例文と使い方
  • 自分の言動や考え方を見直す「省みる」の例文と使い方
  • ビジネス文書での使い分けと、「鑑みる」など類義語との違い
  1. 「顧みる」は外側に目を向け、「省みる」は自分の内側を振り返る
    1. どちらも読み方は「かえりみる」
    2. 「顧」と「省」の漢字からわかる意味の違い
    3. 迷ったときは振り返る対象で判断する
  2. 「顧みる」は過去を振り返るときや周囲を気にかけるときに使う
    1. 過去や歴史を振り返る「顧みる」
    2. 人や事情に心を配る「顧みる」
    3. 配慮しないことを表す「顧みない」
  3. 「省みる」は自分の言動や考えを振り返るときに使う
    1. 自分の行いを見直す「省みる」
    2. 「省みる」には反省や改善を意識する意味合いがある
    3. 自分自身を振り返る場合は「省みる」が基本
  4. 間違えやすい表現は対象と意味を確かめると使い分けられる
    1. 「歴史を顧みる」は過去を振り返る表現
    2. 「家族を顧みない」は家族を気にかけないという意味
    3. 「危険を顧みず」は危険を気に留めないという意味
    4. 「自分を省みる」は自身の言動を見直す表現
  5. ビジネス文書では振り返る内容に合わせて漢字を選ぶ
    1. 過去の経緯や実績には「顧みる」
    2. 自分の対応や判断の見直しには「省みる」
    3. 判断に迷う場合は「振り返る」と言い換えられる
  6. 「鑑みる」や類義語との違いも押さえておく
    1. 「鑑みる」は先例や事情を判断の材料にする表現
    2. 「回顧する」は過去を思い返す意味で「顧みる」に近い
    3. 「反省する」は自分の言動を見直す意味で「省みる」に近い
    4. 「振り返る」は幅広い場面で使えるやわらかな表現
  7. まとめ

「顧みる」は外側に目を向け、「省みる」は自分の内側を振り返る

顧みると省みるの違いとは?意味と使い分けを例文で解説

「顧みる」と「省みる」はどちらも「かえりみる」と読みますが、目を向ける先が異なります。

周囲の状況や相手など、自分の外にあるものへ意識を向けるなら「顧みる」、自分の言動や考え方を見直すなら「省みる」が基本です。

読み方が同じため迷いやすい言葉ですが、振り返る対象を確かめると、自然に使い分けられるようになります。

どちらも読み方は「かえりみる」

「顧みる」と「省みる」は、どちらも「かえりみる」と読みます。

いずれにも、これまでのことや目の前のことに改めて目を向ける、という共通したイメージがあります。

そのため、会話の中では意味の違いが意識されないこともありますが、文章では漢字によって伝わる印象が変わります。

特に、案内文や手紙、仕事上の文書などでは、何を振り返っているのかに合う漢字を選ぶことが大切です。

同じ読み方でも、二つの言葉は完全な言い換えではありません。

「顧みる」は視線を外へ向ける感じがあり、「省みる」は自分自身を静かに見つめ直す感じがあります。

「顧」と「省」の漢字からわかる意味の違い

二つの言葉の違いは、それぞれに使われている漢字の意味を意識するとつかみやすくなります。

言葉 漢字が表すイメージ 意識が向かう先
顧みる 振り向いて見渡す、気にかける 周囲の人や状況、これまでの流れ
省みる よく調べて見直す、反省する 自分の言動や判断、考え方

「顧」には、後ろを振り向くようにして見る、気を配るといった意味合いがあります。

そのため「顧みる」には、自分だけに意識を閉じず、周囲や全体へ目を向けるニュアンスがあります。

一方の「省」には、詳しく点検する、改めて見直すという意味合いがあります。

「反省」や「内省」という言葉からもわかるように、「省みる」は自分の中にある考え方や行動を確かめる場面になじみます。

ただし、漢字の意味を細かく覚え込む必要はありません。

「外側を気にかけるなら顧」「自分を見直すなら省」と捉えるだけでも、使い分けの軸になります。

迷ったときは振り返る対象で判断する

どちらを使うか迷ったときは、「何について振り返るのか」を先に考えてみましょう。

振り返る対象が自分の外にあるなら「顧みる」、自分自身にあるなら「省みる」を選ぶのが基本です。

  • 周囲の人、相手の立場、社会の状況などに目を向ける場合は「顧みる」
  • 自分の発言、態度、判断、考え方などを見直す場合は「省みる」
  • 対象がはっきりしない場合は、「誰や何を見直すのか」を補って考える

たとえば、「周囲への配慮」が話題の中心なら、意識は外側へ向いています。

反対に、「自分の対応を見直す」が中心なら、意識は自分の内側へ向いています。

このように主語ではなく、振り返る対象に注目すると判断しやすくなります。

なお、文脈によっては両方の意味合いが近く感じられることもあります。

その場合でも、書き手が周囲への目配りを伝えたいのか、自分自身を見つめ直す姿勢を伝えたいのかを考えると、よりふさわしい表記を選べます。

「顧みる」は過去を振り返るときや周囲を気にかけるときに使う

「顧みる」は、これまでの出来事を振り返って考える場合や、周囲の人・事情に心を向ける場合に使う言葉です。

過去に目を向ける用法と、相手や状況へ配慮する用法があり、文章の流れによって意味を受け取ります。

また、「顧みない」という形になると、何かを気にかけずに行動する様子を表せます。

過去や歴史を振り返る「顧みる」

過去の経験や時代の流れを思い返し、そこから考えるときには「顧みる」を使えます。

この用法では、ただ思い出すだけでなく、過去を見つめ直して今につなげるような、やや落ち着いた響きがあります。

たとえば、「これまでの歩みを顧みる」は、自分や組織がたどってきた道のりを振り返る表現です。

「歴史を顧みる」は、過去に起きた出来事をあらためて見直し、そこに含まれる意味を考える場面で使われます。

  • 学生時代を顧みると、多くの人に支えられていたことに気づきます。

  • 地域の歩みを顧みることで、今も受け継がれている文化が見えてきます。

  • これまでの経験を顧みて、今後の方針を考えました。

「顧みる」は日常会話よりも、文章やあいさつ、記録などで見かけることが多い表現です。

少し改まった印象を出したいときに、「振り返る」の言い換えとして選ぶと自然になじみます。

長い時間の流れや、積み重ねてきた経験を見渡す場面では、特に「顧みる」のよさが伝わります。

人や事情に心を配る「顧みる」

「顧みる」には、周囲の人の立場や事情を気にかけるという意味もあります。

この場合は、相手の様子や環境に目を向け、必要な配慮をする姿勢を表します。

たとえば、「家族を顧みる」は、家族の暮らしや気持ちを気にかけるという意味です。

「周囲を顧みる余裕がない」といえば、自分のことで精いっぱいで、ほかの人や状況まで気を配れない様子を表せます。

  • 忙しいなかでも、部下の気持ちを顧みることは大切です。

  • 自分の都合だけでなく、相手の事情も顧みて判断しました。

  • 地域の暮らしを顧みながら、計画を進める必要があります。

この用法では、「気にかける」「配慮する」「思いやる」と近い意味になります。

ただし、「顧みる」には、相手だけでなく周囲の状況全体へ目を配るような広がりがあります。

人・立場・事情など、目の前の自分以外に意識を向ける場面で使うと、文意が伝わりやすくなります。

配慮しないことを表す「顧みない」

「顧みない」は、「気にかけない」「考慮に入れない」という意味で使われる表現です。

「危険を顧みない」のように、通常なら注意を向けるものにとらわれず行動する様子を表すことがあります。

また、「周囲を顧みない態度」のように、ほかの人への気配りが十分ではない状態を述べる場合にも使われます。

  • 彼女は自分の体調を顧みず、準備を続けました。

  • 周囲の意見を顧みない進め方では、理解を得にくいことがあります。

  • 困難を顧みず挑戦する姿に、心を動かされました。

「顧みない」は文脈によって、強い意志を示すこともあれば、周囲への目配りが足りない様子を示すこともあります。

そのため、何を顧みないのかを具体的に書くと、意図が伝わりやすくなります。

「省みる」は自分の言動や考えを振り返るときに使う

「省みる」は、自分自身の行い・考え方・態度を振り返って見直すときに使う言葉です。

過去の自分をただ思い出すだけでなく、これからの行動に生かそうとする気持ちが含まれる点が特徴です。

自分の発言や対応について考え直す場面では、「省みる」を選ぶと、内面を見つめる意味が自然に伝わります。

自分の行いを見直す「省みる」

「省みる」は、自分がこれまでにしたことを振り返り、よかった点や改めたい点を見つめ直す言葉です。

対象になるのは、発言、態度、判断、考え方、日ごろの習慣など、自分に関わる事柄が中心です。

たとえば、相手への伝え方が適切だったかを考えるときには、「自分の言葉を省みる」と表現できます。

  • 先日の発言を省みて、もう少し相手の立場を考えるべきだったと感じました。

  • 自分の仕事への向き合い方を省みる時間を持つことにしました。

  • これまでの判断を省みながら、次の進め方を考えます。

  • 忙しいときほど、自分の態度を省みることが大切です。

これらの例では、いずれも自分の内側に意識を向けていることがわかります。

「省みる」は、目に見える行動だけでなく、その行動につながった気持ちや考え方まで見つめる場面にもなじみます。

「省みる」には反省や改善を意識する意味合いがある

「省みる」には、自分の過去を振り返ったうえで、今後に生かしたいという意味合いがあります。

そのため、単に出来事を思い出す場合よりも、学びや気づきを得ようとする場面で使われることが多い言葉です。

自分の行いを見直し、よりよくしていこうとする気持ちを表したいときに適しています。

ただし、「省みる」は自分を必要以上に責めるための言葉ではありません。

できなかったことだけに目を向けるのではなく、次にどう行動したいかを考えるための前向きな振り返りにも使えます。

振り返る内容 「省みる」が伝えるニュアンス
自分の発言 伝え方や配慮が十分だったかを見直す
自分の態度 相手への接し方や姿勢を考え直す
自分の判断 考え方や選択の過程を確認する
日ごろの習慣 これから続けたいことや改めたいことを考える

たとえば、「一年を省みる」という表現には、その年にあった出来事を並べるだけでなく、自分がどう過ごしてきたかを見直す意味が込められます。

節目の時期や、新しい目標を立てる前にも使いやすい表現です。

自分自身を振り返る場合は「省みる」が基本

自分の言動、考え、姿勢を振り返るなら、基本的には「省みる」を使うとよいでしょう。

とくに、自分に問いかけながら今後の行動を考える文脈では、「省みる」が持つ内省的な印象がよく合います。

迷ったときは、次のように考えると判断しやすくなります。

  • 振り返る対象は自分の発言や態度か。

  • そのときの考え方や気持ちまで見直したいか。

  • 振り返りを次の行動につなげたいか。

これらに当てはまる場合は、「省みる」を使うのが自然です。

「自分を省みる」「自らを省みる」のように、自分自身を対象として表す言い方もよく用いられます。

日々の出来事を少し立ち止まって見直したいときに、「省みる」は穏やかで丁寧な印象を添えてくれる言葉です。

間違えやすい表現は対象と意味を確かめると使い分けられる

顧みると省みるの違いとは?意味と使い分けを例文で解説

「顧みる」と「省みる」で迷ったときは、何を振り返るのかと、どのような意味を伝えたいのかを確かめると判断しやすくなります。

過去の出来事や周囲への配慮を表すなら「顧みる」、自分の言動を見直すなら「省みる」が自然です。

とくに慣用的に使われる表現は、漢字だけで意味が大きく変わることがあるため、前後の言葉にも目を向けてみましょう。

表現 対象 伝わる意味
歴史を顧みる 過去の出来事 歴史を振り返って考える
家族を顧みない 家族 家族への配慮が十分でない
危険を顧みず 危険 危険を気に留めずに行動する
自分を省みる 自分自身 自分の言動や姿勢を見直す

「歴史を顧みる」は過去を振り返る表現

「歴史を顧みる」は、過去に起きた出来事や、その流れを振り返って考える表現です。

ここでの「顧みる」には、単に過去を見るだけでなく、現在やこれからを考えるために過去へ目を向けるニュアンスがあります。

たとえば、「地域の歴史を顧みる」は、その地域が歩んできた過去をたどり、理解を深める場面に合います。

「歴史を省みる」と書くと、自分自身の反省を連想させやすくなるため、一般的には「歴史を顧みる」がなじみます。

歴史、歩み、経緯、過去の出来事のように、自分の内面そのものではない対象には「顧みる」を選ぶと、意味が伝わりやすいでしょう。

「家族を顧みない」は家族を気にかけないという意味

「家族を顧みない」は、家族の様子や気持ち、暮らしに十分な注意を向けていないことを表します。

この場合の「顧みる」は、相手を思いやる、気にかける、配慮するといった意味で使われています。

たとえば、「仕事に追われて家族を顧みない生活になっていた」という文では、家族との時間や関わりへの目配りが足りなかった様子を伝えられます。

「家族を省みない」とすると、自分の行動を見直す意味をもつ「省みる」と対象が合いにくく、不自然な印象になりやすいです。

人や周囲に心を配るかどうかを表したいときは、「顧みる」を使うと覚えておくとよいでしょう。

「危険を顧みず」は危険を気に留めないという意味

「危険を顧みず」は、危険があることを承知しながら、気に留めずに行動する様子を表す言い回しです。

「顧みず」は「顧みる」を打ち消した形で、危険への配慮や注意を向けないことを示します。

たとえば、「彼は危険を顧みず、助けを求める人のもとへ向かった」と書くと、危険よりも行動を優先した様子が伝わります。

ただし、日常的な文章では少し硬い表現に感じられることもあります。

やわらかく言い換えたい場合は、「危険を気にせず」「危険を承知で」など、場面に合う言葉を選んでもよいでしょう。

ここでも「省みず」は、自分の言動を振り返らない意味に近くなるため、危険を対象にする場合には「顧みず」が適しています。

「自分を省みる」は自身の言動を見直す表現

「自分を省みる」は、自分の発言、態度、考え方などを振り返り、見直すことを表します。

たとえば、「相手の話を最後まで聞けていたか、自分を省みる」のように使うと、自分のふるまいを丁寧に確認する印象になります。

「自分を顧みる」も誤りとまではいえませんが、日常的には自分の言動や姿勢を内省する意味で「自分を省みる」のほうが意図に合いやすい表現です。

迷ったときは、次のように確かめてみてください。

  • 過去の出来事や周囲の人へ目を向けるなら「顧みる」
  • 相手への配慮や危険への注意を表すなら「顧みる」
  • 自分の言動や考え方を見直すなら「省みる」

対象と伝えたい意味を一度分けて考えるだけで、似た表現でも選びやすくなります。

ビジネス文書では振り返る内容に合わせて漢字を選ぶ

ビジネス文書で「顧みる」と「省みる」を使い分けるときは、何を振り返るのかを基準にすると判断しやすくなります。

過去の経緯や周囲の状況、組織としての実績に目を向けるなら「顧みる」を、自分自身の対応や判断を見直すなら「省みる」を選ぶのが基本です。

ただし、社内外の多くの人が読む文書では、難しい印象を避けるために「振り返る」と言い換える方法もあります。

振り返る対象 適した表現 文書での使いどころ
事業の歩み・実績・社会の変化 顧みる 周年記事、あいさつ文、報告書
自分の対応・判断・姿勢 省みる おわび文、所感、改善報告
意味を限定せず、平易に伝えたい内容 振り返る メール、会議資料、日常的な報告

過去の経緯や実績には「顧みる」

会社や部署がたどってきた歩み、これまでの成果、取り巻く環境の変化などに触れる場合は、「顧みる」がなじみます。

特に、創立記念のあいさつや事業報告のように、一定の時間の流れを見渡して述べる文章では、過去を広く見渡すニュアンスを出しやすい表現です。

たとえば、次のように使えます。

  • 創業以来の歩みを顧みると、多くのお客さまや関係者の皆さまに支えられてきたことを改めて感じます。
  • これまでの取り組みを顧みながら、今後の事業方針を検討します。
  • 市場環境の変化を顧みると、柔軟な対応が求められてきたことが分かります。

「顧みる」はやや改まった表現のため、社外向けの案内文や代表者のメッセージにも合わせやすい言葉です。

一方で、短い連絡メールや口頭での報告に使うと、少し硬く感じられることもあります。

読み手に負担なく伝えたい場面では、「これまでを振り返る」「これまでの経緯を見ると」などに置き換えても自然です。

自分の対応や判断の見直しには「省みる」

自分の仕事の進め方、判断、説明の仕方などを見直す内容には、「省みる」が適しています。

反省だけを強く示す言葉ではなく、自分の行動を丁寧に見直し、次に生かそうとする姿勢を表せる点が特徴です。

たとえば、改善報告や研修後の所感では、次のように書けます。

  • 今回の対応を省みて、事前確認の手順を見直します。
  • 説明が十分であったかを省みながら、案内資料を改善してまいります。
  • 自身の判断を省み、関係部署との情報共有をより丁寧に行います。

ただし、相手に向けて「省みてください」と書くと、責めるような印象になる場合があります。

取引先や目上の人に改善をお願いする文面では、「ご確認いただけますと幸いです」「今一度ご検討ください」など、状況に応じたやわらかな表現を選ぶと安心です。

また、自社としての課題を述べる場合でも、必要以上に重い印象を与えたくないときは、「対応を見直す」「課題を整理する」と表現する方法があります。

判断に迷う場合は「振り返る」と言い換えられる

どちらの漢字を使うべきか迷う場合や、文章をわかりやすくしたい場合は、「振り返る」に言い換えるのが便利です。

「振り返る」は対象を限定しすぎないため、過去の実績にも自分の対応にも使いやすく、幅広い読み手に意味が伝わります。

たとえば、次のように書き換えられます。

やや硬い表現 平易な言い換え
これまでの経緯を顧みる これまでの経緯を振り返る
自身の対応を省みる 自身の対応を振り返る
過去の取り組みを顧みて検討する 過去の取り組みを振り返って検討する

社内メール、議事録、業務報告などでは、読み手がすぐに内容を理解できることが大切です。

漢字の使い分けに意識が向きすぎて文章が不自然になるなら、伝わりやすい「振り返る」を選ぶほうがよい場合もあります。

文書の目的、読み手、文章全体の硬さを確認しながら、無理のない表現を選んでみてください。

「鑑みる」や類義語との違いも押さえておく

「鑑みる」は事情や先例を判断材料にする言葉で、「顧みる」「省みる」とは使う目的が異なります。

過去を思い返すなら「回顧する」、自分の言動を改めて見直すなら「反省する」、迷ったときは幅広く使える「振り返る」を選ぶと、伝えたい内容に合った表現になります。

言葉 主な意味 使う場面の例
鑑みる 事情や前例を参考にして判断する 社会情勢を鑑みて予定を調整する
回顧する 過去を思い返す これまでの歩みを回顧する
反省する 自分の行動や考えの問題点を見直す 対応の不足を反省する
振り返る 過去の出来事や行動を見直す 一年間の取り組みを振り返る

「鑑みる」は先例や事情を判断の材料にする表現

「鑑みる」は、ある事情や過去の事例を参考にして、これからの判断につなげるときに使う言葉です。

単に過去を思い出すのではなく、判断の根拠にする点が、「顧みる」や「省みる」との大きな違いです。

「鑑」は手本や見本という意味を持ち、「前例に照らして考える」というニュアンスがあります。

そのため、案内文や社内文書、あらたまった説明などで使われることが多い表現です。

  • 利用者の声を鑑みて、受付時間を見直します。

  • 天候の状況を鑑みて、開催方法を変更します。

  • 過去の事例に鑑み、十分な準備を進めます。

「自分の行動を鑑みる」のような使い方は、一般的にはあまり自然ではありません。

自分自身の対応を見直す意味なら「省みる」や「反省する」、状況を踏まえて決める意味なら「鑑みる」と考えると整理しやすいでしょう。

「回顧する」は過去を思い返す意味で「顧みる」に近い

「回顧する」は、これまでにあった出来事や歩みを思い返すことを表す言葉です。

過去に目を向ける意味では「顧みる」と近いものの、「回顧する」はやや文章語的で、思い出をたどる響きがある点が特徴です。

個人の人生、組織の歴史、長年の活動など、一定の時間を経た対象について使われやすい表現です。

  • 創業からの歩みを回顧する企画を開催しました。

  • 節目の年に、これまでの経験を回顧しました。

  • 当時を回顧すると、多くの人に支えられていたと感じます。

一方で、現在の状況に目を向けずにいることまで含めて表したい場合は、「顧みる」のほうが意味に合うことがあります。

「回顧する」は基本的に過去を思い返すことに焦点があるため、文章の目的に合わせて選ぶことが大切です。

「反省する」は自分の言動を見直す意味で「省みる」に近い

「反省する」は、自分の行動や考え方を振り返り、改善すべき点を見つめ直す意味で使われます。

「省みる」と共通する部分はありますが、「反省する」にはよくなかった点を認め、今後に生かそうとする気持ちがよりはっきり表れます。

そのため、失敗や配慮不足などを認める場面では「反省する」が自然です。

  • 説明が十分ではなかった点を反省しています。

  • 今回の経験を反省し、次回の対応に生かします。

  • 自分の伝え方を省みるよい機会になりました。

ただし、「反省する」は内容によっては重く受け取られることがあります。

改善点を冷静に確認する程度であれば、「見直す」「検討する」などの表現にすると、やわらかな印象になります。

「振り返る」は幅広い場面で使えるやわらかな表現

「振り返る」は、過去の出来事、自分の行動、仕事の進み方などを広く見直すときに使える言葉です。

漢字の使い分けに迷った場合でも、「振り返る」は意味が伝わりやすく、日常会話から仕事の文章までなじみやすい表現です。

良かった点と改善したい点のどちらにも使えるため、一方的に厳しい印象になりにくいところも利点です。

  • 今月の業務を振り返り、次月の目標を決めます。

  • これまでの経緯を振り返って、今後の方針を考えます。

  • 会議を振り返り、決定事項を整理しました。

言葉ごとの細かな違いを意識すると、文章はより正確になります。

ただし、読み手に負担なく伝えることを優先したい場面では、「振り返る」を選ぶのも安心できる方法です。

まとめ

この記事のポイントをまとめます。

  • 「顧みる」と「省みる」は、どちらも「かえりみる」と読む言葉です。
  • 「顧みる」は、過去の出来事や周囲の人・状況に目を向けるときに使います。
  • 「省みる」は、自分の言動や考え方を振り返って見直すときに使います。
  • 迷ったときは、振り返る対象が外側か自分自身かを考えると判断しやすくなります。
  • ビジネス文書では、経緯や状況には「顧みる」、自身の対応には「省みる」が適しています。
  • 「鑑みる」は事情や前例を判断材料にする言葉で、意味や使い方が異なります。

「顧みる」と「省みる」は読み方が同じでも、目を向ける先によって選ぶ漢字が変わります。

過去の出来事や周囲への配慮を伝えたいときは「顧みる」、自分の行いを見直したいときは「省みる」と考えると、言葉の違いをつかみやすくなります。

すぐに判断が難しい場合は、無理に使い分けようとせず、「振り返る」と言い換えるのも自然な方法です。

伝えたい内容に合う言葉を少しずつ選べるようになると、文章も会話もより気持ちよく整っていきます。